最近起こったことについてひとりごと

 「君の心がわかるとたやすく誓える男に なぜ女は着いていくのだろう そして泣くのだろう」

 中島みゆきの空と君との間に

 

 ただ、起きた出来事を書こうと思う。あの日のあの場面が頭の中をぐるぐるして、それもうまく言語化出来ないから起きたことを淡々と。

 

 彼は彼女と別れて3ヶ月ほど経っていた。以前にも付き合いたいとか付き合う?とかいう話は出ていたが、もう少し気持ちが落ち着いてからと付き合わないでいた。

 一方私は婚約していたが、彼氏は先月逮捕されて捜査中の身でうまく行かず荒れていた。その悩みを彼に相談していた時だった。

「そんなに好きなら一生相手に尽くす覚悟で着いて行かないと難しいね」

「好きじゃないよ!?」

「じゃあ何で付き合ってんの!?」

「この先私を好きになってくれる人なんて現れないと思ったから」

「俺好きだよ!?付き合う!?」

こんな感じで付き合った。

救われたと思った。私は警察やツイッターの暗闇にもう身を浸していたくなかった。そんな世界から抜け出したかった。普通の世界に戻りたかった。

 

 それから二日、デート帰りだった。彼が元カノに私と付き合ったことをラインで報告した。すると元カノが発狂した。このままだと死にそうだと彼は言っていた。死なれるのも嫌だし和解したいから家に行かせてほしいと言われた。私は彼の意思を尊重した。

 終電間際の駒込駅だった。人が少なく静かだった。

「行って欲しくない?」

と聞かれた。私は頷いた。

「裏切らないでね」

と言った。電車に乗る彼を見送る。

 

 次の日、「やっぱり元カノが好きです、傷つけるのもわかっているけど裏切らせて下さい」とラインがきた。そっかあと思った。感情がなかった。

 彼の名誉を晴らすために言うが、彼は誰もがあいつは良い奴と口を揃えて言うような人間だった。私が3年間仲良くしていて彼の性格に難を感じたことは一度もない。それだけ信用していた。もし、この事件の当事者が私ではなく他の女の子だったらどう思うだろうか。元カノの所に戻った、とだけ聞いたらまあそういうこともあるよな、と聞き流したかもしれない。でも私の今置かれている状況、世界が真っ暗闇で突然救われて突然捨てられて最後に裏切らないでねと言った、という状況を映画のように客観的に見たとしたら悲しくて泣いてしまうと思う。ただ一つ分かることは彼は浅はかで軽率だった。どれだけ良い人間でも間違えを犯すし人を傷つけてしまうのだ。たまたま私はそこに遭遇してしてしまった。

 今でも恨んではいない。好きの量が勝るなら私がふられるのがこの世の道理だからそれに歯向かうつもりはない。でも私が「行かないで!」と彼の意思を尊重出来ない人間だったらこんなことにならなかったのだろうか。元カノは現に彼の意思を尊重せずに死ぬ!と騒いで奪い取った。私が長年境界性人格障害の治療で心がけてきた「好きな相手の気持ちを尊重する」という志は全く無に帰すのだ。「真っ当に生きていても生きようとしていても、たまにはこういうこともあるかもしれないね」自分にそう語りかけてみる。

 きっと何事もなかったかのように過ごそうと思えばそう出来るのだ。ただ、もやもやした世界に浸っている。浸っていたいだけなのかもしれない。何もわからないが今日も私はアルコールを飲んで朦朧としているだろう。

 助けて。